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2019.08.30
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中村コラム

AI時代の会計・監査・税務

AI時代の会計・監査・税務

公認会計士・公認情報システム監査人
千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科 教授
中村 元彦  

 AI(人工知能)等で会計業務や監査・税務業務がなくなるという話題を聞いたり、TVや記事でご覧になった方もおられるのではないでしょうか。2015年12月に野村総合研究所から、「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」というプレスリリースが発表され、代替可能な職業の中に人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業も載っていました。 ここでの職業の中に、「経理事務員」、「会計監査係員」、「データ入力係」(記帳代行を意識して記載しています)がリストアップされており、会計・監査・税務業務がAI等に取って代わられるという議論に発展しているのです。

国においても、同様の報告書が公表されており、2017年5月に経済産業省から公表された「新産業構造ビジョン」では、「例えば、AIやロボット等の出現により、定型労働に加えて非定型労働においても省人化が進展」と非定型業務にも影響が出ると述べています。そして、「バックオフィス業務等、我が国の雇用のボリュームゾーンである従来型のミドルスキルのホワイトカラーの仕事は、大きく減少していく可能性が高い。」という予測を示しています。ここでのバックオフィス業務は経理、給与管理等の人事部門、データ入力係が挙がっています。

私は会計大学院で教えていることから、他の大学の先生方とも話す機会がありますが、若い学生の会計への興味が薄れてきているという話をよく伺います。その理由の一つは、これまで述べてきたように、将来はAIにより会計などの業務がなくなってしまうと考えているからです。このようにお話しすると、将来に関して、大丈夫かと心配してしまうかもしれませんが、そうではなく、将来は会計・監査・税務に関しては明るい未来が待っているということをお話ししたいと考えています。

最近、FinTech(フィンテック)という言葉やクラウド会計という言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。FinTechは、日本銀行のホームページでは、「金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。」と解説しています。金融における情報がデジタル化して、AIも含めて色々な技術が適用できるようになってきていると考えるとイメージがつかみやすいと思います。

会社や自宅でのPCによるインターネットバンキングはよく使われておりますし、スマートフォンでの振込や店頭での決済も、最近は当たり前となってきています。キャッシュレスという言葉がよく使われますが、私も小銭入れを自宅に忘れていても、困らなかった経験が何度もあります。お金の情報がデジタル化され、この情報を活用すると業務の効率化や分析への活用が図れるのです。特に、上場企業などでは銀行やクレジット会社などからデータを購入し、業務システムを利用して債権消し込みや経理の自動処理を以前から実施しておりましたが、クラウド会計を利用することにより、インターネットバンキングの情報などを取り込んで、中小企業でも同様のことを安価で実現できるようになってきています。

クラウド会計では、製品によって紙の領収書をスキャナやスマートフォンで読み取り、自動で仕訳を行うなどの機能があります。また、AIの活用で、読み込みによる仕訳が誤っていた場合は、修正すると次回では正しく仕訳を起票するように学習し、さらに多くの会社のデータを活用してより望ましい処理がなされるようになっています。税務では電子帳簿保存法の承認を受けることによって、一定の手続きがありますが、電子化した後は紙(領収書や契約書など)を廃棄することが可能となっています。対象は会計帳簿も含まれており、ペーパレス化は税務上も可能となっているのです。

最後に今後の会計・監査・税務についてお話ししたいと思います。単純な作業はAI等が代わりに行ってくれますので、記帳代行業務や定型的な記帳に関しては、大幅に減少していくのは確実です。しかし、会計で求められているのは仕訳の作成だけでしょうか。会計は企業や団体の実態を表しており、経営者や理事長は、会計情報や関連する資金情報を管理目的にも利用したいのではないでしょうか。

コンサルティングというと難しく感じるかもしれませんが、最近の会計ソフトでは、メニューの中に経営分析機能が組み込まれており、基本的にはその情報を活用すればいいと感じています。実際に分析するためには、会計の情報だけでなく、その会社や団体のことを理解していなければなりません。AIは分析をしたとしても現状では数値情報が中心ですので、まだまだ人間は負けていません。

定型的な業務はITに任せて、経理担当者、公認会計士、税理士が作業者から会社における参謀役に変化することが可能な時代が近づいています。これは、誰でもできるのではなく、会社のことを知っている人、まさに「あなた」でなければならないのです。このように考えると、定型的で暗いというイメージがある会計・監査・税務は、知的で将来性のあるもので明るい未来が広がるといえるのではないでしょうか。

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